甲斐文弥-小学5年生は反抗を決意した。学校では空気のように扱われ、存在を認識されない。家庭では、教育熱心な母に勉強を強制され息苦しい。カーソルを合わせて、大好きな植物たちと同じ色、緑色のカラー剤をカートに入れた。両親にバレない時間に商品を受け取って、彼は反抗の足を進めた。母には大声で叱責されたが、持ち前の身軽さで、逃げ出すように登校した。真緑の頭は目立って、今まで空気扱いしてきた女子も男子も寄ってたかって罵声を浴びてきた。小さい身体が嫌悪の肉壁に隠れてしばらくすると、小さい声とともに、壁は剥がれて行った。その声の持ち主は、設楽楽-小学5年生だった。彼は一言、怪我とかしてない?と声をかけてきた。文弥は心底思った。反抗に成功した。今まで自分を空気のように扱ってきた連中が、あろうことか自分を助けに来るなんて。その醜い様に嘲りを覚える気持ちは無表情でグッと隠し、文弥も一言、「大丈夫だよ、ありがとう」と述べた。
次の日、あれだけ面白い様を見せてくれた醜い彼が、文弥を驚かせた。この世界に少しは希望を抱いていいのかもしれない。1度陰った心を、灼熱の太陽の元に引きずり出すかのように、設楽楽の髪の毛は赤く染っていた。
見えている気持ち